医薬品開発(外用剤の製剤化について Final)

2.クリーム剤(つづき)     ※はじめから読む

2.2 吸水クリーム

油中水型(W/O型)の吸水クリーム(旧:吸水軟膏)は、化粧品のコールドクリームに近い剤形ですが、医薬品によく使用されているワセリンを多く配合している点が特徴的です。

吸水クリームには、液体の油すなわち脂肪酸エステルやワセリン、流動パラフィンなどを量的に多く使用しますが、薬剤を配合するに際に、これらの油相における薬剤の分配率に注意する必要があります。薬剤は油に溶けないと均一相にならないし、逆に溶解度が大きすぎると患部に塗布した時に皮膚に吸収されずに、皮膚上の油膜に存在し、薬効がでない場合があります。したがって、薬剤の溶解度が高すぎる油だけで処方化することは好ましくありませんので、溶解度の低い油を加え、溶解性を調整しなければなりません。

吸水クリームの場合は、薬剤の配合により乳化が困難になりますので、乳化状態の安定化のためには、乳化剤を増量したり、乳化安定剤を併用したりする必要があります。乳化安定剤としては、金属セッケン、コレステロール、レシチンなどがありますが、金属セッケンが最も安定化に役立ちます。ただし、これらの成分と反応しない薬剤の場合に限られます。配合禁忌でこれらの安定剤が使用できない場合には、非イオン界面活性剤を増加して安定化を図ります。

油中水型(W/O型)に適している乳化剤としては、親油性の非イオン界面活性剤であるモノオレイン酸ソルビタン(NIKKOL SO-10V)、セスキオレイン酸ソルビタン(NIKKOL SO-15MV)、グリセリン脂肪酸エステル(NIKKOL DGMO-CV)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(NIKKOL HCO-5)、ポリオキシエチレンヒマシ油(NIKKOL CO-3)などが適しています。また、親水性の界面活性剤を少量配合すると、安定性の高い蛍光を帯びた均一粒子のエマルションが得られることがあります。また、通常のパドル撹拌だけでなくホモジナイザーなどのより強力な攪拌で処理した方が、粒子が均一な製品が調製できます。

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