化粧品原料成分(化粧品素材)のプロフェッショナル_3

1-3炭化水素

hydrocarbons

炭化水素は炭素と水素よりなる化合物の総称で、炭素原子の配列により、鎖式炭化水素と環式炭化水素に大別される。化粧品原料としては鎖式炭化水素が多く使用される。炭化水素系の化粧品原料を分類すると、

①石油系:流動パラフィン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、ソパラフィン類

②天然に産出する鉱物系:オゾケライトやこれを精製したセレシン

③合成系:ポリエチレン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン

④動物系:スクワレンおよびこれに水素添加したスクワラン

⑤植物系:オリブ油,米ヌカ油などに存在する植物性のスクワレンおよびこれに水素添加したスクワラン。そのほか,オレンジの皮や松の樹液から得られる油を蒸留精製したリモネンやテレビン油がある。

石油系の炭化水素は,原油に存在している微量の芳香族化合物(紫外線吸収物質)、イオウ化合物などを除去することにより、経時安定性に優れ,また安全性の高い製品が開発されてきた。炭化水素には、乳化がしやすい、皮膚に疎水性の皮膜を形成して水分の蒸散を防ぐなどの特徴がある。また、飽和炭化水素は化学的に安定であり、不活性である。化粧品には、一般に感触などの理由からエステル類や植物油などと併用されることが多い。ポリエチレンなどの製造技術の進歩は目覚しく,高性能で高純度の製品が生み出されている。たとえば、ポリエチレン末を高融点にするためには、その分子量を数千以上にする必要があったが、近年,直鎖部分の比率が高い構造をもつポリエチレンを合成する技術が開発されたことにより、数百の分子量しかない高融点ポリエチレンが製造されている。低分子量であるため、軽くさっぱりした使用感が得られる。スクワランの原料であるスクワレンは、古くからサメ肝油より製造されてきた。しかしながら、2種類の深海ザメ(ホホジロザメ,ウバザメ)がワシントン条約付属書に掲載され,そのほかの種類についても海洋資源保護の観点から捕獲や国際取引に規制の動きがある。このため、オリーブ果実などから得られたスクワランや,糖由来のスクワランも利用されるようになった。

出典:新化粧品ハンドブック(日光ケミカルズ

化粧品原料(化粧品素材)のプロフェッショナル_2

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