化粧品原料成分(化粧品素材)のプロフェッショナル_4

1-4 脂肪酸及び有機酸

天然脂肪酸
天然の脂肪酸は動植物油脂を原料として製造される。原料として用いられるおもな油脂は牛脂、ヤシ油、パーム油、トール油などである。天然の脂肪酸の特徴は、1.直鎖脂肪酸が多い。2.総炭素数はほとんど偶数である。3.飽和酸ではC8~C24、不飽和酸ではC16、C18の炭素数が多いなどである。製造法は油脂をけん化分解し、生成した脂肪酸を分留、冷却プレスなどして目的の脂肪酸を得る。牛脂由来の脂肪酸およびその誘導体は化学合成品であるため、原則として日本国内における化粧品、医薬部外品、医薬品への使用については規制を受けない。しかしながら、中国における輸入規制、消費者へのイメージダウンなどの影響は存在しているため、植物由来の脂肪酸およびその誘導体への切り替えが進んでいる。

合成脂肪酸
主として液状である分枝脂肪酸が化粧品に利用される。合成脂肪酸の製造法は,1.オレフィンと一酸化炭素を酸触媒の存在下で反応。2.アルデヒドまたはアルコールの酸化。3.パラフィンの空気酸化。4.トール油、大豆油、牛脂より製造されるダイマー酸の副生物の水素添加(イソステアリン酸)などがある。分枝型の合成脂肪酸は、天然脂肪酸に比べて酸化安定性がよく、融点・粘度が低く,色相・においの面で優れていることから、化粧品の油性成分、界面活性剤の合成原料として使われている。近年直鎖のポリエチレンが製造できるようになったため、さらにその酸化反応により,炭素数20以上の直鎖脂肪酸も合成できるようになった。化粧品へは、クリームなどのワックス成分として、またアルカリと共存させることにより乳化剤として利用される。洗顔フォームなどの洗浄用化粧品には、水酸化ナトリウム,水酸化カリウムなどのアルカリおよびトリエタノールアミンと共存させてセッケンとして使用される。また金属セッケンにしてW/O乳化剤、メークアップ化粧品用の滑沢剤、粉体の親油化処理などに使われる。

有機酸
炭素数の少ない有機酸は,カチオン成分の中和剤、pH 調整剤、pH 緩衝剤などの酸として、あるいはエステルや界面活性剤などの製造原料として使用されている。α位に水酸基を有するグリコール酸や乳酸などのα-ヒドロキシ酸には,皮膚細胞の新陳代謝を促進する効果が認められている。このためターンオーバー促進やしわ改善などの目的で化粧品に利用されている。

出典:新化粧品ハンドブック(日光ケミカルズ

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