化粧品原料成分(化粧品素材)のプロフェッショナル_2

1-2ロウ類honey,bees wax

ロウ類は高級脂肪酸と高級アルコールのエステル(ロウエステル)を主成分とし,脂肪酸のグリセリントリエステルである油脂とは構造上区別されている。また,各種合成ロウが作られ、ロウとしての用途に使用されている。このため構成成分によらず、慣用的にあるいは物理的状態によりロウとよばれる物質もあるが、ここでは化粧品に使われる天然ロウエステルについて述べる。天然のロウエステルは高級脂肪酸と高級アルコールのエステルのほかに,炭化水素類、高級アルコール、樹脂類を含有している。エステル体を構成する脂肪酸の炭素数分布はC12~C34と幅広く、油脂に比べて炭素数の大きい脂肪酸より構成されている。高級アルコールも同じく幅広い炭素数分布と炭素数の大きいアルコールから構成されている。炭化水素の炭素数はC28~C30付近に分布している。遊離の脂肪酸,高級アルコールは構成している酸およびアルコールよりやや大きい傾向にある。これらの構成成分がトリグリセリドでは得られない高融点、粘性の強さ、優れた抱水性、乳化性を示す。

化粧品に使用されるロウ類を分類すると,① 動物系としてラノリン、鯨ロウ、ミツロウ、セラックロウ、液状のオレンジラフィー油、② 植物系としてカルナウバロウ、キャンデリラロウ、液状のホホバ油、③ そのほか合成ロウとしては、鯨ロウの代替であるパルミチン酸セチルをはじめとする高級アルコールと脂肪酸のエステルがある。

化粧品への応用は、融点が高く非常に粘性のある固体であるなどの性質を利用して、つぎのようなものがある。

(1) クリーム,乳液など乳化系の製品

処方中の油相成分の融点、粘性を調整し、使用感の改良、製品の乳化安定化、外観改善などの目的で使用される。

(2) メークアップ製品

液状油の固化剤、光沢剤として口紅に使用される。チキソトロピックな増粘剤としてファンデーションの使用感を改善する。

(3) 毛髪化粧品

液状油の固化剤としてポマード、チックに使用される。また、毛髪のコンディショニング効果の向上、光沢付与などの目的でシャンプー、リンスなどに使われる。

代表的な成分の紹介

ホホバ油(Jojoba oil) 外原規,INCIjojobaoil

所在・製法ホホバ(Simmondsia chinensis)は、米国カリフォルニア地方,メキシコ北西部の乾燥地帯に自生している雌雄異株の灌木で、樹高は60~180cm,高いものでは3m に達する。樹齢は100年以上200年に達するものもある。このホホバの種子よりn-ヘキサンなどの有機溶媒による抽出や圧搾により油を得る。化粧品原料としては、脱色脱臭などにより精製した、無色透明な油を利用する場合が多い。性状・物性無色~黄色の透明な液体で、無臭またはわずかに特異なにおいがある。不飽和高級脂肪酸と不飽和高級アルコールとのエステルの混合物からなり、その炭素数分布はC36~C44を中心とする。

特徴・用途植物性であるため、魚類系のロウエステルに比べてにおいが少ない。酸化されにくく耐温度性に優れている。285°C まで繰り返し加熱しても、また,370°C で4日間加熱してもほとんど変化しないといわれている。粘度の温度変化が少ない油で、多くの化粧品の原料として使用されている。古くからホホバ油は現地住民により皮膚の治療など、薬用の目的で使用されてきた。皮膚に塗布すると皮脂線からの皮脂の分泌を抑えることからニキビの治療に有効であるといわれている。また、ホホバ油は頭皮に吸収されやすく、皮

膚に柔軟性を与え,皮脂の過剰分泌を抑えることからふけを防止したり、毛髪の生長を促進するといわれている。

クリーム、乳液、美容オイルなどのスキンケア製品の油相成分として使用すると使用感の優れた製品を得ることができる。シャンプー、リンスなどのヘアケア製品に利用するとコンディショニング効果があり、毛髪をしなやかにすることができる。

ホホバ脂(異性化ホホバ油) INCI所在・製法ホホバ油の二重結合部分を異性化することにより,融点の高いホホバ脂が得られる。ホホバ油は、二重結合の部分がcis 体だけのエス

テル(液体)であるが、異性化処理によりcis 体・trans 体が混ざったエステル(固体)となる。性状・物性白色~微黄色の固体.融点46~54°C,ヨウ素価65~75,比重0.86~0.87特徴・用途なめらかでリッチな使用感で,エモリエント性に優れる.基剤臭が少なく、安定性の高いロウとして、スティック製品、メークアップ製品、サンスクリーン製品,整髪料などに使用できる。

ミツロウ(Beeswax) 外原規,局方,食添,INCI

所在・製法ミツバチ(Apidae)の働きバチは腹部の分泌腺からロウを分泌して巣を作る。ハチの巣を砕いて遠心分離にかけてハチミツを採取した後、熱湯に入れると、原ロウが融解して表面に浮かぶ。これを熱時沪過して異物を除く。さらに、これを漂白したものはサラシミツロウとよばれる。漂白法には、日光漂白法、化学的漂白法、吸着による方法があるが、吸着による方法が一般的である。ヨーロッパミツバチから得られるミツロウは酸価が高く、高酸価ミツロウとよばれ、トウヨウミツバチから得られるミツロウは酸価が低く、低酸価ミツロウとよばれる。ミツロウの一部をけん化分解し、酸価をより大きくしたロウが、高酸価ミツロウとして外原規に収載されているが、一般に高酸価ミツロウとよばれるものとは区別されている。

性状・物性:白色~黄色の塊で、わずかに特異なにおいがあり、味はほとんどない。ミツロウの色は原植物の花粉によるものといわれている。ミツロウは非結晶性の固体で、冷時ややもろく、割ると光沢のない破砕面を呈する。指で揉むと軟化する。エーテル、クロロホルム、四塩化炭素、植物油に溶け、ベンゼンおよび二硫化炭素に冷時、わずかに溶けるが、水および鉱物油には溶けない。組成高級脂肪酸と高級1価アルコールのエステルを主成分とし、遊離の脂肪酸、炭化水素などを含んでいる。

特徴・用途ミツロウおよびサラシミツロウは古くから化粧品原料として使用され、かつては乳化剤としてホウ砂と併用された。口紅などに使用される理由は成型しやすく、柔らかい感触を与えて融点を高め、ほかの油脂や、ロウ・着色料などを均質化する作用があるためである。主としてメークアップ化粧品やチックなどに使用される。

出典:新化粧品ハンドブック(日光ケミカルズ)

化粧品原料(化粧品素材)のプロフェッショナル_1

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