医薬品開発(外用剤の製剤化について)

1.軟膏剤について

旧薬局方では、軟膏剤に、クリーム剤も含まれていましたが、16局の医薬品分類において、両剤は分離されました。新しい医薬品分類では、軟膏剤は、有効成分を基剤に溶融または分散させた半固形の製剤と定義されています。そこで、ここでは、油脂性基剤(狭義の軟膏)と、水溶性基剤(水溶性軟膏)について、説明します。

1.1 油脂性基剤(狭義の軟膏)

ワセリン軟膏を代表とする油脂性基剤は水を含まず、植物油、脂肪酸エステル、鉱物油(ワセリンも含む)、スクワランなどの油に、ワックス類、ロウ類、高級脂肪酸、高級アルコールなどを配合し、適当な稠度にした軟膏です。特に、加水分解する薬剤を軟膏に使用するには、この油脂性基剤が適しています。

油が多量なため油性感が強くなりますので、処方作成の際はできるだけ脂肪酸エステルやスクワランなどの配合量を多くし、鉱物油などは許される限り減らした方が感触的には良くなります。

また、ワックス類、そのほかの固体と液状の油との相溶性が悪いと、基剤は安定性が悪く外観上も商品価値が落ちます。相溶性を改善する必要がある場合には、セスキオレイン酸ソルビタン(NIKKOL SO-15MV)、トリオレイン酸ソルビタン(NIKKOL SO-30V)、モノステアリン酸プロピレングリコール(NIKKOL PMS-1CV)などの親油性の界面活性剤を0.5~3%ぐらい配合してみてください。

また油に溶解しない薬剤を分散させるためは、これらの親油性界面活性剤や、プロピレングリコール脂肪酸エステル(NIKKKOL Sefsol-218Sefsol-228)やアジピン酸ジエステル(NIKKOL DID)やセバシン酸ジエステル(NIKKOL DES-SPDIS)などの極性油をご検討ください。薬剤によっては界面活性剤に溶解するものもあり、均一に分散することができます。

油脂性基剤はチキソトロピックな性質になりやすいため、手乗りが悪く、容器から取りにくい場合がありますが、界面活性剤の添加によって防ぐことができます。

高温で流れ出さないようにするために、基剤の融点を40℃以上に処方しなければなりませんが、さらに高い融点でものびのよいクリーム状が得られるような工夫が必要になっております。

また、基剤が油性であるため水洗いしにくいので、非イオン性界面活性剤(HLB10前後)を配合しソルブルオイルタイプとして、洗った時に自己乳化するようにしたものもあります。この目的には、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(NIKKOL BO-7V)、ポリオキシエチレンヒマシ油(NIKKOL CO-10)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6EO)(NIKKOL TS-106V)、ポリソルベート65(NIKKOL TS-30V)などが適しています。

基剤に不溶の薬剤を用いる時は、微粉末を用いるか、配合後にローラーをかけて結晶につぶして分散しやすくしなければなりません。

油脂性基剤は植物油などの二重結合を持った油脂を多用しますので、酸敗を防ぐため酸化防止剤を0.05~0.2%ぐらい添加する必要があります。

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